●花がないのと夏疲れで、とてもとても写真にできるようなものがない。
仕方ないので、以前書いておいて没になっていた記事を、繰り下げUP。 秋バラが咲いたらお披露目しようと思っていた<メイアソ作出のフロリバンダB> こと <カルト・ブランシュ>です。 あんまり良い写真が撮れてないので、今後に期待してください(笑) ——ここより6/9記入—————————————— ●6/5のサテ帰りに寄った、HC(moiさん、ダイシンでしたw)でバラフェアをやってたのが運のツキ。 <アイスバーグ>はあっても、<カルト・ブランシュ>はないだろう…ハハハ。 と思ってたら、あった。しかも仕入れ直後だけあって状態良好。 値段もFL(フロリバンダ)だけあって手頃。 一度は手ぶらで家に戻ったものの……、気になってもう一度行ってゲトー。 <クラウディア>の時と同じパターン…(笑) 家に帰ることによって、余計に気持ち盛り上がるような。 現場では半開きの蕾で、花姿も香りもわからず終いでしたが、次の日見ると咲いてたー* 素晴らしいよ、メイアンさん…! レオさまやクマでわかっていたけど ひらひらとした品の良い躍動感は、 さすがお見事。リズムがある。 ミルキーなアイボリーホワイトに うっすらサーモンピンクが 乗る感じで、白い花だけど華やかさもある。 清楚さ一辺倒は飽きが来るけど これなら生けても主役になってくれる。 カルトブランシュは、アレンジメントで よく使われるらしく、そちらの方なら 御存知かもしれません。 種類はフロリバンダ。イボンヌのようなポリアンサの房咲き性(多花性)と ハイブリッドティーの整った花形と香り、両方を受け継いだオールインワンの優等生。耐病性も高く、 もしミニバラ以外のバラをベランダで育てるのであれば、モリニューのような矮性ERか フロリバンダをオススメします。黒点が宿命病のミニバラよりも、もしかすると管理が楽かもしれない。 鉢は8号の深い鉢で十分いけます。 ●これも色は白と決めていたけど、実質名前買いかなー。 イボでは向かなかった「切り花向け」というセレクト理由もありますが。 <カルト・ブランシュ>=「白いカード」 この名前と形、花もちの良さなどから、 よく結婚式のアレンジメントに使われるというのも納得。 ただし私の場合は別の知識から、この単語に馴染みがあった。 実はこの単語を覚えたきっかけはシャーロック・ホームズなんですよ(笑) コナン・ドイルの正典では、何度か出てくる単語なのです。 イギリス→フランス(大陸文化)への憧れがあってか、 この時代のスノッブの会話には、さらりとフラ語が出てくることが多い。 一番効果的に<カルト・ブランシュ>が出てくる話としては、「ボヘミアの醜聞」。 「あの女」アイリーン・アドラーの話でもあります。 ある晩、覆面の男がベーカー街を訪れる、彼こそはボヘミア国王その人であり、 三日後にはスカンジナビア王女との結婚を控えていた。 しかし彼はかつての愛人・女優アイリーンと一緒に撮った写真をタテに、 彼女から脅迫されていたのであった。 彼は身分を明かし、ホームズに写真の入手を依頼する。 ——ホームズが捜査を引き受けた以後の会話をどうぞ。 ホームズ「では、捜査の進行状況は電報でお知らせします」 "Then I shall drop you a line to let you know how we progress." ボヘミア王「そうしてくれ、期待している」 "Pray do so. I shall be all anxiety." ホームズ「それで…報酬は?」 "Then, as to money?" ボヘミア王「白紙を渡そう」 "You have carte blanche." ホームズ「全権委任でしょうな?」 "Absolutely?" ボヘミア王「写真が戻るのならば、余は国土の一部を与えることもいとわぬのだ」 "I tell you that I would give one of the provinces of my kingdom to have that photograph." ここでは会話の流れをみて「金額を書き込まない白紙の小切手(報酬は言い値)」という意味と ホームズに事の成りゆき全てを託す、という「白紙委任(全権委任)」の意味の ダブルミーニングの面白さがあります。子供向け訳なんかでは削られてしまうけど、 こういった含みのあるやり取りは結構多いのですよ、ホームズ作品では。 また「カルト・ブランシュ」そのものが、「白紙委任(全権委任大使に任命)」という意味の 一つの政治外交用語として使われていたことが、ボヘミア王の言葉でわかります。 (実際に私の持ってる英和辞典でも、フラ語由来で載っている) なので「白紙を渡そう」は、乱暴に意訳しちゃうと 「君の好きにすればいい」といったところかな。 …「よ し な に。」でもいいかな!!(笑) この後もたびたび身分の高い人物からの依頼を受けての捜査で、 ホームズが自慢半分に呟く「何しろ僕は<白紙委任>を受けているからね」などという台詞で 「カルト・ブランシュ」はルビつきで出てくるのでした。 それにしても「国土をあげてもいい」な〜んて言質をとられかねないことを言ってしまう ボヘミア国王は、切羽詰まってるとはいえ、やっぱり軽率というか(笑) そして相手の身分が高ければ高いほど、傍若無人な態度に出るホームズの反抗的な性格も…。 この「白いカード」のやり取りがあってこそ、最後にホームズが得た「あの報酬」というオチが 効いてくるわけで、やはり面白いですよ。(※アイリーンの写真1枚) …てなわけでマニア話で申し訳ないのですが、名前を見た瞬間からこのバラは私にとっては とても馴染みのあるバラになったという次第です(笑) 名前の印象と作られた由来(切り花用)そのままに、庭バラとしては ちょっと堅苦しいところもあるような気もしなくもないですが バラ初心者の私には、バラはこのくらい人工的な「女優さん」であって欲しい という満足感があります(笑)イボとの対比も面白いしね。 秋のバラはどんな感じなのか、レオさまの次に楽しみにしている。 なにせメイアンさんのバラは、お楽しみがたっぷり隠されているみたいだから。
by wwkt
| 2005-09-08 22:57
| 茨の道
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